野菜・果物の健康維持機能に関する研究動向
3. 主な果物の生理機能
j. キウイフルーツ
キウイフルーツは栄養素の宝庫といえる果物です。ビタミンCは69mg/100gと豊富で、1日の所要量は100mgとされているので、1〜2個で十分な量が摂取できます。さらに、ビタミンEを1.3mg/100g含み、200g摂取すると1日の所要量の26〜33%も満たすことができます。さらに、キウイフルーツは、心臓病の予防に関係する葉酸を(36μg/100g)多く含んでいます。そのため、キウイフルーツは、たばこを吸う人、酒を飲む方、妊婦、肌の健康が気になる人などに最適な果物です。
また、キウイフルーツは、カリウム(290mg/100g)の供給源としても優れた食品です。カリウムを多く摂取すると血圧が下がり、心臓発作になる危険性が低下します。また、カリウムは、カルシウムの尿への排出を抑制します。閉経前の女性の骨の密度を調査した結果、カルシウムの摂取量が多い人の骨密度が高いことが分かりました 1)。 心臓、筋肉、神経、骨にとって重要なマグネシウムも多く含まれています(32mg/100g)。マグネシウムが不足すると虚血性心疾患、高血圧、骨粗鬆症などのリスクが増えます。
食物繊維も多く(2.5g/100g)含まれており、普段の食事と一緒にキウイフルーツを2個食べるだけで所要量を満たすことができます。水溶性食物繊維(0.7g/100g)は、血糖値やコレステロールを下げる働きがあり、不溶性食物繊維(1.8g/100g)は、吸水力が強いので便のかさが増えるため排便回数が増加して便秘が解消されます。
さらに、有機酸としてクエン酸、リンゴ酸などが含まれ、レモンやライムなどに次いで有機酸が多く疲労回復に役立ちます。中国では、サッカーや陸上競技など暑い環境でのスポーツトレーニングにキウイベースのスポーツドリンクが有効であると報告されています 2)。
最近の研究から、キウイフルーツに非常に強い抗変異原性(発ガンの原因となる細胞の突然変異を誘発する発ガン物質の生成や作用を抑える機能)が認められました 3)。 抗変異原性を有するカンゾウ、ニンジン、ブロッコリー、タマネギ、ニンニクなどと比較すると、ニトロソアミンの種類によっても異なりますが、キウイフルーツは甘草の次に抗変異原性が高いことが明らかになりました。キウイフルーツの強い抗変異原性は、ガンの予防に役立つと考えられます。
生体内で血小板は、出血を止め、血管損傷の修復等に重要な役割を果たしています。しかし、血小板の凝固作用は、血栓症、それによる脳梗塞や心筋梗塞などの各種の疾患や症状を引き起こす原因ともなっています。健康なヒトに1日2個ないし3個のキウイフルーツを28日間摂取させた実験では、血小板の凝固作用が有意に低下したことが報告されています。また、コレステロールのレベルには変化は認められなかったものの、中性脂肪が約15%低下したという結果が得られています。
これらの結果から、キウイフルーツの摂取が心臓血管障害の予防に効果を持つことが示唆されています 4)。
また、試験管内の実験ですが、キウイフルーツが心臓血管を保護する作用を期待できることが報告されています。これは、キウイフルーツの抽出物が比較的高い抗酸化作用を示すこと、HMG-CoA還元酵素の活性を阻害することから、コレステロールの低下が期待できることなどからです 5)。