野菜・果物の健康維持機能に関する研究動向
4. 野菜に含まれる個別成分の機能性に関する研究調査
超高齢化社会に向かっている我が国では、国民の健康志向も相まって健康食品に代表されるような代替医療手段への関心が高まっています。これまでに行なってきたこの調査研究でも、疾病の予防や治療に野菜の成分を応用することを最終目標に、いろいろな研究が行われていることを示してきました。
一般的にこのセルフメディケーションの対象となっている疾患としては、動脈硬化、糖尿病、発癌などがよく知られていますが、これに加え認知症やうつ病など精神疾患に対しても、これまでの西洋医療に代わる食品成分による対応が求められているようです。このような精神・神経関連の問題は、現代の特徴のひとつである過剰なストレス社会がその根底にあるとも考えられ、解決しなければならない大切な課題と言えます。
そこで、本年度の調査研究では従来の研究動向調査に加えて、脳すなわち中枢機能に影響する野菜個別成分の研究にも焦点を当てて調べてみました。認知症のような症状は、記憶能力・学習機能と深く関わっており神経機能の変化に直結するものですので、実験動物を対象としてこれらの疾患に対する野菜個別成分の研究を検索するにあたり、このような基本的なキーワードを使って検索しました。
試験管レベルでのデータや動物レベルでのデータのみでは、実用化に直結するような科学的根拠にはなりませんが、様々な可能性と方向性を示す基礎データとしては非常に重要であると言えます。これらの研究情報を網羅的に収集して紹介するとともに、客観的な観点からそれらを取捨選択し、期待される可能性を総合的に把握することが大切だといえます。このような情報提供の一端を担うことが本研究の大きな目的のひとつです。