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野菜・果物の健康維持機能に関する研究動向

2. 主な野菜の生理機能

d. 根菜類

根菜類ではショウガ、ニンニク、玉ねぎ、ニンジン、イモについての研究が多くなされています。

ショウガ

玉ねぎ、にんじん

悪心や嘔吐症状の有る67人の妊婦にショウガのカプセルを4日間摂取させました。その結果、ショウガを摂取した妊婦の85%が、悪心が改善されました。嘔吐回数もショウガを摂取することにより有意に減少しました。ショウガは妊娠中の悪心、嘔吐を改善するはたらきが有るようです示唆されました(Ozgoli Gら 2009) 1)

126人の妊婦(妊娠16週以下)で悪心、吐き気の症状が有るヒトを対象に、ショウガまたはビタミンB6を、1日3回4日間摂取させ、悪心、吐き気の程度を観察しました。その結果、両サンプルとも悪心、吐き気の程度が有意に減少しました。特にショウガの作用の方が強い効果を示しました。ショウガ摂取で悪心、吐き気の症状が平均8.5回から5.4回に減少し、ビタミンB6摂取で平均8.3回から5.7回に減少しました 2)

化学療法を受けるガン患者28人にタンパク質飲料とショウガを摂取させたところ、化学療法により引き起こされる吐き気の症状を改善しました 3)

ショウガ抽出液の摂取は、胃、十二指腸の運動を活発にしました(ヒト対象、Micklefieldら1999)。これと同様の報告がありました 4)

玉ねぎ

玉ねぎは栄養成分上特に特徴があるわけではありませんが健康への貢献度が高いといわれている不思議な野菜です。玉ねぎの中の注目されている成分としてケルセチン(篠塚先生のページへリンク)、硫化アリルなどが挙げられます。これらはガン予防作用が期待される成分です。

Hubbardらは玉ねぎスープに抗血小板凝集作用があるか否か検討しました。健常者に高ケルセチン含有玉ねぎスープ、あるいは低ケルセチン含有玉ねぎスープを摂取させたところ、高ケルセチン含有玉ねぎスープの摂取グループで血小板凝集(血栓形成に関与)が抑制されました 5) 。また血中のケルセチン濃度が高くなりました 5)

玉ねぎの摂取は腸内改善作用、抗酸化、肺ガン、胃ガンのリスクの軽減が報告されています(ヒト対象、Brennanら2000)。

老齢ラットに玉ねぎの果肉あるいは皮を3ヶ月間投与したところ抗酸化能が強化されました(Park et al.2007)。肝硬変ラットへの玉ネギ成分ケルセチンの投与は、酸化ストレスを軽減しました(Amalia et al.2007)。

ニンニク

13人の高齢者(平均年齢70歳)にニンニクを一ヶ月間毎日投与しました。その結果、血漿と赤血球の酸化の指標であるMDAの減少と様々な抗酸化酵素の活性の上昇が見られ、ニンニクの酸化抑制作用が示されました 6)

150人の高脂血症患者にニンニク粉末錠剤(ニンニク400mg、アリシン1mgに相当)、ニンニクが含まれていない錠剤(プラセボ)を1日2回6週間投与しました。その結果、ニンニクグループでは、血中の総コレステロール、LDL-コレステロールが有意に低下しました 7) 。実験条件は異なりますが、高脂血症患者に対し脂質改善効果がないという報告もありました 8)

熟成ニンニクエキスのサプリメントの摂取は、胃前ガン状態の病変を抑制しませんでした 9)

Tanakaらは大腸腺腫の患者51人を対象に直径5mm以上のポリープを取り除いた後ニンニク摂取の影響を調べました。その結果、高含量の熟成ニンニクエキスを12ヵ月間摂取したところポリープの大きさと数が有意に減少しました 10)

ニンジン

ニンジンジュースを摂取(2週間)したところ、体内酸化の指標である血中のマロンジアルデヒドの量は変わらず、体内での抗酸化作用は認められませんでした(Bubら2005)。

ニンジン由来の食物繊維は糞便量を増加させ、食物の腸内通過時間を短縮させました(ヒト対象、Cummingsら1978)。

ポテト

メタボリック症候群の47人にA食(オーツ麦・小麦パンとポテト)あるいはB食(ライ麦パンとパスタ)を12週間与え、血清中の炎症性サイトカインや血糖値を測定しました。その結果、A食はB食に比し、食後高インスリン応答を示し、炎症性サイトカインも変化しました。食後2.5−3時間後の血糖値は、A食の方がB食より低い値を示しました 11)

ポテトはその品種や調理・保存方法によりグリセミックインデックス(GI)に影響を与えました。GIとは血糖上昇係数のことでGIの高い食品ほど食後の血糖上昇率が高くなることを示します。当日調理したものより下ごしらえ後冷蔵し再加熱したものの摂取の方がGI値は低い値を示しました (Fernandesら2005)。

まとめ
 野菜名主な含有成分生理機能
根菜類ショウガカリウム、亜鉛抗凝血作用(効果あり・なし)
腸機能、吐き気(つわり)の軽減
玉ねぎ硫化アリル、ケルセチン抗酸化、抗血小板凝集
ニンジンカロチン、カリウム、アストラガリンガン予防、整腸作用
ニンニクリン、カリウム、亜鉛、銅、VB1、VB2、硫化アリルガン予防、抗菌作用(ミュータンス連鎖球菌)、薬物代謝、脂質改善(効果あり・なし)

(文責 江頭祐嘉合)


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