野菜・果物の健康維持機能に関する研究動向
1. 野菜等個別成分のヒトにおける機能性研究
a. 野菜等のヒトにおける機能性とは
近年の食品の機能性に関する研究の進歩から、食品・食品成分には、病気のリスク低減効果や体調を調節する作用のあることが次第に明らかにされています。野菜等の成分の機能性については、かつては「からだによい」など、漠然としたイメージでとらえられることが多かったのですが、最近は実験法や分析法の改良・進歩によって、より科学的な手法で野菜等に含まれる成分の機能性とヒトとの関係が調べられています。
一般に機能性研究の手法としては、試験管内試験、動物試験、ヒト試験の3つがあります。研究結果の実生活への適用の可否を考えると、試験管内実験や動物実験はそれほど参考にはなりません。なぜなら、ヒト以外の研究結果のみでは、私達が目的とする食品・成分をどれだけの量と期間で摂取すれば、期待する効果が得られるかという答えが得られないからです。このような理由から、野菜等の機能性研究で注目できるのはヒト試験から得られた結果のみといっても過言ではありません。
ヒト試験としては、野菜の摂取量・摂取期間とある病気の発症との関係、ならびに野菜等に含まれる成分の血液中濃度等を調べる方法、野菜等に含まれる既知成分を被験者に摂取してもらい、発病あるいは病気に関連した生体指標(例えば、血清脂質など)の変動を測定する臨床試験によって評価する方法などがあります(図1)。
図1