野菜・果物に関するFAQ
Q and A
23. 各国の果物の消費量や供給量の現状を教えて下さい。
果物は食卓に潤いと彩りを添えて食生活を豊かにするだけでなく、ビタミン・ミネラルなど必須栄養成分の供給源としても重要な食品であり、最近では健康増進効果をもった機能性成分の摂取源としても注目されています。南北に長く中山間地域の多い日本列島では、寒冷地果樹のリンゴ・サクランボから、温帯果樹のブドウ・日本ナシ・モモ、暖地果樹のカンキツ・ビワ、熱帯(亜熱帯)果樹のパイナップル・マンゴーまで、実に多様な果物が生産されています。しかし、恵まれた果樹資源は必ずしも日常の食生活に反映されてはおらず、国民一人当たりの年間果実消費量でみると、消費量の多い欧州・北米・中東諸国等に比べて1/2から1/3程度という低水準で、アジアでも中国・インドよりは多いもののフィリピン・韓国等の概ね2/3程度という実態があります。 豊富な果樹資源が活かされていない状況は果実自給率の推移でみるとより鮮明であり、昭和35年頃には100%であった自給率が、ガットウルグアイラウンドの合意を受けて全ての果実・果汁が輸入自由化された平成4年には60%、平成16年には40%にまで低下しています。果実消費の動向を供給純食料の推移からみると昭和40年代後半以降はほぼ横ばい状態で推移しており(農水省:食糧需給表,2000)、果実類の摂取量でみると長期的な減少傾向にあって(厚労省:国民栄養調査,2000)、生鮮果実消費量でも同様な傾向がみられます(総務省:家計調査,2000)。このような果実消費の伸び悩みの原因としては、菓子類・アイスクリーム・果実飲料類等との競合(中央果実基金:果実需要構造基本調査,1997)、果実糖分による肥満・糖尿病への警戒感などが考えられます。しかし、最近では果実に含まれる多くの栄養的・機能的成分による健康増進効果が解明されてきており、果物等に対する理解を深めてもらって果実離れが進んでいる若い方たちにも果実摂取を心がけていただきたいと思います。
図1
図2
注)総務省統計局:世界の統計(出典:FAO・Food Balance Sheets 2000)より作図
図3
注)農水省「食料需給表」(2002)