野菜・果物に関するFAQ
Q and A
22. ミカンやリンゴなどの果物の表面に白い粉や白く汚れていることがありますが、あれは農薬ですか?また、ミカンでは、表面にワックスを塗ることがあるそうですが、安全なのでしょうか?
ミカンやリンゴなど果物の表面には果物自身の持っているワックス層があります。この組織の存在により、果物からの水の蒸散を抑え、鮮度を維持するなど、ワックス層は果実にとって大切な生理的役割を果たしています。果実を水(特に温湯)で洗うと、このワックスの水溶性の部分が切られ、分離してきた水不溶性の部分が果実表面で固まり、白濁することがあります。
また、収穫後の果実の鮮度を保つため、樹上でカルシウム剤を散布することがあり、このような場合カルシウムが付着して白い物質が見られることがあります。これは水で洗浄するか布で拭けば簡単にとれますし、カルシウムの結晶ですので、ここに付着している程度の量では、特に人体に対する危険性はありません。
白い粉ではありませんが、リンゴの「ジョナゴールド」などの表面は、べとべとしていますが、これはリンゴの皮に含まれているリノール酸やオレイン酸が表皮組織から表面にでてきたものです。
通常、農薬散布が行われている果物ですが、農薬は自然界で光などによって分解し、食べる頃には農薬が全く残っていないよう考慮された農薬散布体系がとられていますので、通常の果物では、特に残留農薬に対して心配する必要はありません。
「ワックスは安全?」という質問がでるのは、ワックスが農薬などと同じものと考えられているためと思われます。ワックスは、果物表面に塗布されるため、食品衛生法による食品添加物としての規制を受けています。このため、天然物そのものか、一覧表に挙げられて許可されている添加物の混合物から作ったワックスしか使用できません。実際、天然多糖類、タンパク質、動植物性油脂などを主成分としていて、食べても安全なものです。
欧米では、ワックスは多く使用されていますが、我が国では、ハウスミカンのような夏の暑い時期に収穫される一部のカンキツ類などで使用されているにすぎません。近年は、ワックス使用が敬遠される傾向がありますが、逆に、しおれた果物を消費者が買わないのも事実で、鮮度保持の観点からは、適切に使用されることが望まれます。
1) | 樽谷隆之・北川博敏 (1982) 園芸食品の流通・貯蔵・加工.P.62.養賢堂. |
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2) | 農産物流通技術研究会 (2001) 2001年版農産物流通技術年報.P.121.流通システム研究センター. |
3) | 農産物流通技術研究会 (1999) Q&A講座 なんでも分かる青果物流通.P.37.養賢堂. |