野菜・果物に関するFAQ
Q and A
3. 野菜に含まれるポリフェノール類やビタミンなどの有効成分は、加熱調理によってどのくらい失われますか?
野菜や果物に豊富に含まれるポリフェノール類は、活性酸素が引き起こす様々な生活習慣病の予防に役立つとされる注目の機能性成分です。フラボノイドとフェノール酸化合物に大きく分類されます。これらの成分は一般に熱には強いようです。たとえば、タマネギに含まれる黄色の色素「ケルセチン」(フラボノイドの一種)は、タマネギを40分間炒めてもほとんど減少しないと報告されています1)。ただし、フラボノイドの多くは糖と結合して水に溶けやすい形で存在するため、野菜を煮ると煮汁中に溶け出しやすいです1,2)。代表的なフェノール酸化合物であるクロロゲン酸類(シュンギク、ゴボウ、ナス、モロヘイヤ等に多い)の場合も同様のことが言えます。シュンギクを沸騰水中で5分間茹でた場合、クロロゲン酸類の残存率は44〜62%で、損失分は煮汁中に検出されたという報告があります3)。
ビタミンの加熱調理による損失は、ビタミンの種類や調理法によって異なります。野菜を茹でた場合、水溶性であるビタミンCやB類は茹で水に溶け出しやすく損失が大きいのに対し、β-カロテンなどのカロテノイドは脂溶性なのであまり減りません。ホウレンソウを3分間茹でたときのビタミン残存率は、下の表4)のように報告されており、特にビタミンCの減少が大きいことがわかります。また、長く茹でるほど水溶性ビタミンの残存率は低くなり、溶け出す分が多くなるというデータもあります。
以上のことから、加熱調理によるポリフェノール類や水溶性ビタミンの損失を少なくするためには、油炒めや電子レンジ調理のような水を使わない調理やスープ、煮込み料理などの煮汁ごと食べる料理にすること、茹でる場合はできるだけ短時間の加熱にすることが望ましいと言えます。但し、ホンレンソウのように結石の原因になるとされるシュウ酸の多い野菜の場合は、たっぷりの湯で茹でた後、水をかけてシュウ酸を洗い流して下さい。ちなみに、野菜の短時間加熱は、野菜中のアスコルビン酸酸化酵素やポリフェノール酸化酵素を失活させ、その後の調理過程での抗酸化活性の低下を抑えることができるというメリットもあります5)。
クロロゲン酸類を含むゴボウやリンゴの切り口を空気にさらしておくと変色します。切ることによって細胞が壊れ、クロロゲン酸類とポリフェノール酸化酵素と接触する結果、クロロゲン酸類が酸化されていきます。その酸化過程で生じる物質が変色の原因と考えられています。そのため、変色してもポリフェノール類がなくなるわけではありませんが、酸化生成物の割合が増え、抗酸化活性が弱まることが予想されます。
ビタミンC | 48% |
ビタミンB1 | 70% |
ビタミンB2 | 80% |
カロテン | 90% |