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野菜・果物に関するFAQ

Q and A

17. ショウガには脂肪を燃やす効果があるそうですが、もう少し詳しく教えて下さい。

ショウガは風邪、健胃、消化促進、鎮痛などの漢方療法や料理、菓子、飲料の調味料や薬味として利用されています。現在、中国、インド、西インド諸島、アフリカ、日本などの栽培地では生のショウガが使われることが多く、欧米では乾燥したショウガまたはこれを粉末にしたものが使用されています。ショウガには独特の辛味と香りがあり、辛味の主成分はジンゲロール、ジンゲロン、ショウガオールです。これらの成分には強い抗酸化作用や殺菌、食欲増進、消化吸収の促進、食中毒予防などの作用が報告されています。香り成分であるシネオール、ジンギベロール、ジンギベレンには消炎、発汗、保温などの作用があり、かぜ、冷え性、神経痛改善に効果があるとされています。このように機能性に富む医食同源の素材であるショウガですが、最近ではエネルギー代謝に対しても作用のあることが報告されています。実験動物(ラット)にショウガ粉末やジンゲロンを加えた食餌を与えると、酸素消費量は増加し呼吸商は低下することが報告されています 1) 。さらに、ジンゲロンとジンゲロールの同時投与により、顕著な酸素消費量の増加と呼吸商の低下が観察されています。このことはショウガにより生体でのエネルギー消費(酸化分解)が活発になり(酸素消費量の増加)、しかも糖質よりも脂質の燃焼が盛んに(呼吸商の低下)なっていることを示すものです。一方、ジンゲロールは脂肪細胞分化を促進することが報告されています 2) 。脂肪細胞分化により善玉の小さな脂肪細胞が増え生活習慣病が予防されることが期待されます。実際、脂肪細胞分化を促進し小さな脂肪細胞を作り出す作用をもつ化合物が糖尿病や高脂血症の治療薬として用いられています 3)4) 。さらに、ジンゲロールにはこれら薬物と同じような核内受容体PPAR(ペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体)のリガンド活性が認められ、脂肪細胞分化に重要なPPARγのみならず脂肪酸酸化を促進するPPARαも活性化することが分かっています。以上のように、ショウガは脂肪を燃やすことでエネルギー代謝を活発にすることが分かっています。現在の食生活は高脂肪食が多く、これに起因するメタボリックシンドロームや生活習慣病が急増していることから、ショウガを積極的に食べることによってより健康でいられることが期待されます。

参考文献
(1)嶋津孝、石見百江:(2006)、エネルギー消費を促進する食品成分の探索、肥満研究、12(1)、76-79
(2)Sekiya K., Ohtani A. and Kusano S.:(2004), Enhancement of insulin sensitivity in adipocytes by ginger., BioFactors, 22, 153-156
(3)Sandouk T., Sandouk T., Reda D., and Hofmann C.:(1993), Antidiabetic agent pioglitazone enhances adipocyte differentiation of 3T3-F442A cells., Am. J. Physiol., 264(6 Pt 1), C1600-C1608
(4)Brandes R., Hertz R., Arad R., Naishtat S., Weil S., and Bar-Tana J.:(1987), Adipocyte conversion of cultured 3T3-L1 preadipocytes by bezafibrate., Life Sci., 40(10), 935-941

(文責 関谷 敬三)


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